MSI GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO

給付金シリーズ三段目です.

5 月のコンデンサマイクとオーディオインターフェース,6 月の 4K ディスプレイと続き,今月はツクモで 93,478 円でした.

背景

これまでは玄人志向の GeForce GTX 1050 Ti を使っており,開発時にちょっと重いと思うことはあってもほとんどの場合問題なく使用できていました. しかし,先日 4K のディスプレイを購入したところ,解像度が大幅に上がった影響で PC の動作が重くなってしまいました.

Blender でポリゴン数の多い 3D モデルを操作する際にカクついたり,Lightroom に至っては現像の際に値をいじる度に細かく固まるような状態で作業がしんどい状態です.

加えて,DisplayPort,HDMI,DVI-D がそれぞれ 1 端子ずつしかないなど不満もあったことから,買い換えることにしました. (現在ディスプレイ 2 台と Oculus が繋がっています)

選定

GPU

とりあえずモデリングやレンダリング,Unity の開発が主ですから,ゲームのフレームレートだとかのシビアな話ではありません. リアルタイム性は要求されない物のかかる負荷は大きいため,「強ければ強いだけ良い」という状態です.

候補

無印を買うなら SUPER,Ti が一番性能が良いが 2070 Ti を買うなら 2080 SUPER という雰囲気を感じました. そのため,2070 SUPER,2080 SUPER,2080 Ti の三つに絞りました.

性能

仕様の比較

2070 Super 2080 Super 2080 Ti
CUDA コア 2560 3072 4352
クロック 1605 MHz 1650 MHz 1350 MHz
単純計算 4.109 T 5.069 T 5.875 T
RTX/OPS 52 T 63 T 76 T
比率 100 % 121 % 146 %

とりあえずこの 3 つの性能を比較してみました.「単純計算」の行は,(正確ではないことを承知の上で)単に CUDA コアの数と周波数を掛け合わせてみたものです. RTX/OPS は製品の仕様に記載されている値で,各コアの性能を良い感じに計算したもののようです. RTX シリーズ内の性能の比較に便利そうですね.
(参考: ASCII.jp:Turingコアの構造も謎の指標「RTX-OPS」の計算方法も明らかに!徐々に見えてきたGeForce RTX 20シリーズの全貌 (5/6)

そして,最後に RTX/OPS の比率を計算しました. 単純計算の値もこれとほとんど同様の値でした. このことから,それぞれ 20 % 程度ずつ性能が違うことがわかります.

価格

一方,2070 SUPER 以上は価格差が大きく,

  • 6 万円前後の 2070 SUPER
  • 9 万円強の 2080 SUPER
  • 13 万以上の 2080 Ti

という状態です. 性能は 1.2 倍でしたが,価格はほぼ 1.5 倍ずつ違いますね.

RTX 2080 SUPER に決定

総合的にみたところ,2080 SUPER に決定しました.まあそんなに深い意味はなくて, 「2070 SUPER にしようかなあ.でも 3 万で一段階あがるならそうするか.でもさすがにそこから追加で 4 ~ 5 万円出すのはちょっと」 と思ったぐらいです.

「4K ゲーミングには 2080 Ti がいいし,そうでなければ 2070 SUPER で十分だから中途半端」と言われていた 2080 SUPER ですが,ゲーミング用途でないので案外丁度良さそうです.

製品

まあチップが同じならどれも一緒やろと思いつつ,

  • ファンがいっぱいついていた方が回転数が少なくて静かな気がする
  • 外排気にしようとしたけどうるさいらしいのでやめた
    • 実際目の前で何枚か刺さってるの動かしたときはうるさかった
  • 付けっぱなし PC なのでセミファンレスだとうれしい

みたいなところで MSI GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO にしました.

MSI GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO

ゲームはまったくしませんのでフレームレートがどうという話はわかりませんが,ゲーミング光線がケースから漏れ出るようになりました.

外装

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開封

本体が特大サイズなので結構大きい箱です.

説明書

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説明書

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説明書(中身)

なんか可愛いドラゴンの漫画が入っています. 前半は「グラフィックボードはどうやって付けるものか」を説明していて,後半は付属ソフトの使い方です. これとは別に文字メインの真面目な説明書も付いています.

とはいえグラボ全般の話(電源を切ってここに刺せみたいな話)なので,この製品特有の話はありません. 製品付属の補助パネルの使い方は別の紙に書いてありました.

本体

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本体

とにかく大きい. 横で見ているのは等身大のピカチュウで身長は 40 cm です.

設置

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ケース内

やはりでかいです.ちょっと右側が下がっているように見てるので心配ですね…….

取り付けるブラケットの部分よりも手前にはみ出ている上に,その手前側に電源プラグを差し込む構造になっています. 奥行きもマザーボードの大きさを超えるサイズです.

結構余裕がある PC ケースなので問題ありませんでしたが,ケースは奥行きも幅も余裕がないとしんどそうです. 電源から延びる配線がマザーボードを避けて遠回りをするのでちょっとギリギリになってしまいました.

ブラケット

本体は重いため,本体の他に補助ブラケット (説明書では “graphic card support bracket” とよばれています) が付いていて,これが下から支えるようになっています. ……が,べつに本体の形状に合わせてはまるように作られているわけでもないためちょっと設置が難しいです.

また,端点で固定された細長い板ですから前後に軽く曲がります. 取り付け位置が適当だと徐々にずれてファンの羽根と接触したり,振動でビビり音が発生したりします.

このブラケットは他のボードと干渉しないような設計になっているため,さすがにグラボ 1 枚で 5 スロット占有するというようなことはありません.

このブラケットの説明書には “directly below the graphics card” と書いてあったのですが, この製品は特に分厚いからか,グラフィックボードから一つ空けて取り付ける必要がありました.

温度とファン

セミファンレスということで,特になにも負荷をかけなければファンは回りません. 61 ℃ に達すると 800 rpm でファンが回り始め,58 ℃ まで下がると再び停止するヒステリシス制御です. フルに使った状態でも 60 ℃ 前後を維持しています. この 800 rpm の状態ではほとんど音を感じず静かです.

性能

いずれのソフトでもするするとスムーズに動くようになりました. Lightroom では,現像だけでなくライブラリのスクロールもスムーズになり,相当快適です.

処理によっては 1050 Ti でも「CPU でやった方が早い」ということがありましたが,さすがに 2080 SUPER ではそういったこともなさそうです.

メモリは 8 GB 搭載していますが,起動時の何もしていない状態でも 3 GB 程度使用しているようです.

Blender でのレンダリング

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書き出しに 10 分近くかかっていた画像
たいしたことなさそうだが,調子に乗って無駄に細分化しまくったのと,オリジナルの画像は解像度が異様に高いためすごく時間がかかってしまう

1050 Ti では書き出しに 1 フレームあたり少なくとも数分,長いと 10 分以上かかっていた画像も,1 分かからずに出力できました.

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Eevee でのレンダリング時

Cuda を使うより CPU でごりごりレンダリングする方が早かった Blender の Cycles も,ようやく GPU Supported の方が早くなりました. あまりがっつり調べる程でもないので,作業の合間に 100 万ポリゴン程度に細分化されたモデルを描画してみたときのタスクマネージャを見てみました. Eevee でのレンダリングですが,GPU の使用率にわずかに余裕があります. CPU の使用率を見てみると 1 つのコアが 100 % に張り付いていたため,CPU でのシングルスレッド処理がボトルネックになっているようでした.

また,ポリゴン数が多い事もあってか内蔵の専用メモリは 8 GB の大半を使い切っていました.

Video Encode

Cinegy HEVC で GPU を用いたエンコーディングを行ったところ,そんなに極端に早くなったような感覚はありません.ちゃんと測ってないのでよくわからないですが,残り時間を見る限りではそんな雰囲気です.

結果

これより上のモデルは現実的には RTX 2080 Ti しかないので,満足かどうかはあまり重要なところではありませんが,とりあえず諸々の動作が快適になったので最高です.

PC でゲームはやったことがほとんどないですが,せっかく 4K ディスプレイにいいグラボがあるので初めてみるのもありかなあと思ったりしています.

そういえばルータもグラボも RTX ですね.