名刺の製作 (秋月)

2016 年 3 月に初めて名刺を作ったときの記録です。それまでは自宅のプリンタで印刷して切っていましたが、ほんの十枚二十枚だけでもなかなか大変なので業者に印刷を頼むことにしました。

デザイン自体は印刷の依頼以前に完成していましたが、印刷を頼むときは所定のテンプレートに決められた形式で入稿しなければならないので作り直しました。以下全体を通してデザインの制作について書いておきます。

印刷依頼先

発注先は色々と調べて見た結果 YMCard さんに頼むことにしました。

  • 他の名刺業者はビジネス向けのところが多く、カラフルなコスプレ用名刺に向かなさそう
  • 他の一般的な印刷業者でも出来そうだが、メインの業務ではないので選択肢がなかったりおまけ程度にしか書かれておらず詳細がわからないものが多い
  • 一般的な名刺だけでなく、店舗紹介の名刺やカード類の印刷も行っており、カラフルな印刷の品質が良さそう
  • 紙や印刷加工の選択肢が広い
  • とりあえずウェブサイトがわかりやすい
  • 100 枚から製作可能

というあたりで選びました。

写真の調整

写真は 2015 年に龍さん (@ryuRomeo1) に撮って頂いた秋月の写真です。この写真はとても気に入っていて、しかもちょうど左側に文字も入れやすいので初めてのコスプレ名刺はこれに決めていました。

トリム

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名刺に使うに当たって、まず適当にトリムして名刺サイズにしました。この写真では肘がフレームのぎりぎりにあり、下側をトリムすると腕が完全に途切れてしまいます。また、主題である人物が画面に占める比率も下がってしまいます。幸い、上側をトリムしても頭との間にまだ隙間があるので、上側をトリムすることにしました。

仕上がりサイズは 91 mm × 55 mm ですが、塗り足し分があるので大きめになっています。YMCard さんのこの製品では 93 mm × 57 mm で製作することになっています。

グラデーション

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次に、名刺の端に書くつもりのアカウント情報が見やすいようにグラデーションを掛けて文字を見やすくしました。このとき主題である人物部分にグラデーションがかからないように注意しました。

また、画面左側は完全に白く消失させてします。これによって左端で空間が途切れず広がりを感じるようにしました。

文字の配置とデザイン

フォント

記載する情報は「名前」と「アカウント情報」の二つです。障子に和傘と、全体的な構成が和風でやや古風な雰囲気があります。これに合うように、中央の名前部分は毛筆にしました。それほど上手くなくてもちゃんとした草書で書いておけばそれっぽくなります。前に筆で適当に書いた物をスキャンして貼り付けました。

ここまで和風で統一してきましたが、アカウント情報はどうしても英数字が主体になりがちです。英字中に僅かに日本語が入るとこのエリア内でのバランスが取りにくいので、すべて英字で揃えました。その上で、他と統一感が出るようにトラディショナルなフォント、Trajan を使用しました。

アカウント情報部分のデザイン

SNS 名とアカウント名の間はコロンとその直後のスペース (: ) で句切っています。中央揃えではなく、このコロンの位置で揃えました。中央揃えにすると区切れの位置が左右に暴れて落ち着きがなく、また見づらくなるためです。一番下はアドレスですが、これもコロンを含むため同様に揃えました。

文字の配置

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最後に、文字をどう配置するかを考えます。

主題である人物に文字をかぶせるとごちゃごちゃとして窮屈になってしまいます。また、文字自体も読みづらくなります。せっかく左半分に良いスペースがあるので、ここに入れることを考えていきます。

毛筆の名前を名刺に対して 90 度傾けて配置するとさすがに読みづらいので、名前はそのまま縦方向に配置します。一方アカウント情報の部分は英字ですから横書きです。また、せいぜい数行しかないので横長になります。そうすると、このまま配置するとどうにも文字を小さくして無理矢理押し込まねばなりません。文字は小さくなり読みづらく、さらに妙な空間が出来てしまいバランスも悪いです。このアカウント情報は補助的な情報なので、見た目のデザインを重視し 90 度回転させました。縦書き文中の英文をこの方向に記述することは一般的なので、それほど違和感もありません。

名前を中央に配置したのは、90 度回転してある部分 (アカウント情報) とそうでない部分 (名前と背景人物) がそれぞれまとまっているからです。これが逆になっていると、それぞれの部分ごとに「見る・読む方向」 がころころ変わってしまいまとまらないと考えたからです。

(また、後から気がついたのですが結果的に名前の文字の配置がおおよそ黄金比になっています。名刺右端から名前の文字中央を貫く障子の枠組みまで距離が、名刺の短辺とほとんど同じぐらいです。名刺の短辺と長辺はおおよそ黄金比です)

フォントサイズ

サイズはローマ字読みの名前が 13 pt、それ以外のアカウント情報が 9 pt です。少なくとも 6 pt あれば読めるだろうと思いますが、自然に読むには少なくとも 8 pt は必要だと考えました。

エンボス加工

「なんか豪華そうだし、せっかくだから自宅の印刷じゃ出来ないことがしたい」とエンボス加工をしたくなったので毛筆部分に施すことにしました。業者さんの指定によりイラレのパスで領域を指示する必要があったので、マウスでカチカチと毛筆の線の縁をなぞって指定しました。

紙の選定

とりあえず無料でサンプルが送られてくるのでなかなか悩んだ結果、「アルテ」を使うことにしました。表面のざらつきが名刺のイメージと合ったこと、266 kg と最も分厚く丈夫であることが決め手です。

今回は特に、厚く丈夫ということを重要視しました。会場等でジタバタしながら名刺交換をしたりするとうっかり折れてしまうことがあったためです。

他に、より発色が良くかつ丈夫な「ユポ」も考えましたが、ユポはエンボス加工が出来ず、雰囲気もアルテの方が合っていると考えたため「アルテ」に確定しました。

裏側

 

裏側は白紙の方が安いですが、やはり何かあった方が少し締まるかなあと思いウェブサイトのロゴを真ん中に追加しました。

また、写真のクレジットを是非入れたいと思っており、さらに既に表はスペースがなくなっていたのでこれを裏に書く事にしました。同時に、個人的な管理の都合で版と刷を書きたいと思っていたのでこれも追加しました。アカウント情報の更新があったときに、誤って古い名刺を配らないようにするためです。

裏面は主張を減らしシンプルに落ち着いてまとまっている印象にしたかったため、ロゴや文字は小さくまとめました。フォントはサンセリフで字幅の狭い Helvetica の Light Condensed です。また、表面の情報と違って読めればよいため、フォントのサイズは 6 pt にしました。